静岡県

持舟城(持船城・用宗城)の解説~今川水軍の拠点のひとつ

持舟城

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持舟城(用宗城)とは

持舟城(もちふね-じょう)は、静岡県静岡市駿河区用宗城山町にある山城で、標高は78m、比高は70mほどになります。
静岡(駿府)の街から、西へと日本坂に出る際の交通要所にあり、戦国時代は、海岸線が、山城の直下にある、用宗駅(もちむねえき)の場所まで、来ていた模様です。
そのため、水軍を運用するための基地にもなっていたようで、別名も色々あり、用宗城、用船城、持船城とありますので、海城でもあると言えるでしょう。
現在でも交通の要所で、東海道本線だけでなく、持舟城跡の真下には東海道新幹線のトンネルがあり、北側には東名高速も通っており、山頂からは駿河の市街地と、駿河湾を望むことができます。

持船城

最初の築城は、戦国時代の天文年間に、今川家の家臣・一宮元実が築いたとされます。
ただし、それ以前より、砦程度に、使われていても、おかしくない、要所です。
その他、今川家の城主としては、一宮宗是(一宮出羽守宗是)、一宮左衛門尉、関口親永(関口刑部少輔親永、関口氏純)の名が見られます。
関口親永(関口氏純)は、今川義元の妹婿である重臣でもあり、徳川家康の正室となった築山殿は、関口親永(関口親長)の娘ともされます。

用宗城

永禄11年(1568年)、甲駿同盟は手切となり、年末の12月6日、武田信玄が駿河へ侵攻開始します。(駿河侵攻)。
そして、12月12日、迎え撃った今川氏真は、薩埵峠に陣を張ろうと、駿府から興津・清見寺に入りました。
しかし、瀬名信輝・葛山氏元・朝比奈政貞・三浦義鏡など、有力家臣21名が武田家に寝返ったため、朝比奈泰朝の掛川城に落ち延びています。
この時、持舟城(用宗城)は、簡単に落城したようで、そのあと、武田家の三浦義鏡が城主となりました。


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また、武田水軍を統括した、岡部貞綱が、伊勢からスカウトした、向井正重なる武将も、持舟城(用宗城)に入ったようです。
こうして、持舟城(用宗城)は、武田水軍の基地へと変わりましたが、1579年、徳川家康が駿河侵攻し、駿河・田中城や遠目砦を陥としたあとは、牧野康成らが、持舟城(用宗城)を攻撃しました。
この時、武田勢の三浦義鏡(三浦兵部義鏡)と、興国寺城主となっていた向井正重(向井伊賀守正重)ら400が、討死しています。
しかし、1580年2月には、手薄になっていたところを、再度、武田勝頼が奪回し、朝比奈氏秀(朝比奈駿河守氏秀)、朝比奈信置が持舟城に入り、改修しました。

天正10年(1582年)、織田信忠の甲斐攻めに、同調した徳川家康は、再度、攻撃をすると、甲斐の諸将が領国に引き上げます。
そのため、朝比奈信置は、5日間籠城したあと、今福虎孝がいる久能城に逃れました。
その後、持舟城(用宗城)は、使われなかったようです。


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討死した向井正重の嫡男・向井正綱は、徳川家の水軍を率いて、北条家相手に小田原攻めでも活躍したと言います。
その向井正綱の子・向井忠勝は、江戸幕府史上、最大の安宅船「御座船安宅丸」の造船を行っています。
また、支倉常長をローマに派遣した、伊達政宗の南蛮船「サン・ファン・デ・バプティスタ号」の造船にも力を貸したようです。

この日、日本平は、かろうじて望めました。
空気が澄んでいれば、富士山も望める景勝地です。

持舟城

交通アクセス

持舟城(用宗城)への行き方ですが、中腹まで舗装された道路があります。
ただし、かなりの急坂で、道路は1.5車線です。
なお、クルマの場合、アクセスをかなり踏み込みますが、急坂道路のだいぶ上のほうに、見学者用の無料駐車場(3台ほど)も用意されていますので、登城される場合には便利です。

持舟城の駐車場入口

当方のオリジナル地図にて、駐車場の場所を、ポイントしておきます。
電車の場合、JR用宗駅のすぐ背後の山なのですが、線路を渡れず、グルッと迂回して歩く必要があり、登城口まで、徒歩15分かかります。
そして、急坂を登っていきます。

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高田哲哉と申します。
20年以上戦国武将などの歴史上の人物を調査している研究家です。
日本全国に出張して城郭も取材させて頂いております。
資格は国内旅行地理検定2級、小型船舶操縦士1級など。

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