元木山城(大傘館)とは
元木山城(もときやま-じょう)は、東京都町田市能ヶ谷にある丘城。
別名は元木山柵、大笠館(大傘館)。
眼下では鶴川街道と津久井街道が交差しており、近くを鶴見川も流れていると言う交通の要所で、丘の先端に築かれている。
川沿いは湿地帯であったのだろう。
能ヶ谷香山古墳群としては、円墳2基、横穴墓20基が認められている。
立地・地勢から考えると、小山田氏などが古くから使っていた可能性もあるように思えるが、最初の築城としては戦国時代の伝承がある。
1525年、越後から来た神蔵盛清(神蔵甚左衛門盛清)が築いたとされる。(確かに、越後には神蔵さんが多い)
この神蔵家の先祖は、インド・天竺にて道教を修め、唐、辰国(朝鮮南部)へ移ったとの事。
そして、日本初代天皇・神武天皇の弥生時代に日本に渡って筑紫から高倉下(たかくらじ)に随従し、丹後を経て熊野にやってきた渡来人とされ、神蔵盛清でなんと24代目と言う事なのでかなりの旧家だ。
平安時代末期の1185年に、源義経に従った熊野(紀州・田辺)から神蔵重信(神蔵甚左衛門重信)がやってきたともされる。
その後、宗家は吉野から奥州・平泉、羽黒山などに移ると、神蔵重成のとき越後・羽黒村に居を定めたと言う。
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それからしばらく時代は流れ、元木山城(大傘館)を築城したとされるのは戦国時代に越後から来たと言う神蔵盛清(神蔵甚左衛門盛清)である。
この神蔵盛清の元服は1524年とある。
神蔵盛清(神蔵甚左衛門盛清)は、武蔵国都築郡幡屋郷元木に来訪し柵(城)を造営したと言う。
そのため、もともと、平安時代末期の頃から、神蔵氏の一族が鶴川・元木を細々と領していた可能性も十分に考えられる。
神蔵盛清は小田原城の北条氏綱へ加勢を乞い、1544年、扇谷・上杉朝定の軍勢と武蔵・浄土野森で合戦になったが勝利した。
<注釈> 浄土野森はどこなのか、わかっていない。
そして、北条家の客人となった神蔵盛清は、北条氏康より永30貫文(24万坪)所領を安堵され、大笠館(大傘館)を築いたと言う。
ただし、一部の情報によると戦国時代、神蔵盛清(神蔵甚左衛門盛清)が越後にいた際に、「越後」上杉勢の三戸義宣(三戸駿河守義宣)との合戦に敗れ奥州に落ちたともある。
三戸義宣は、越後ではなく、相模・三浦一族で、扇谷・上杉朝興に仕えた武将であることを確認したい。
三戸氏は、扇谷上杉家・上杉朝定に仕えていたが、1546年、北条氏康による河越城の戦いにて扇谷上杉家が滅ぶと、山内上杉家の関東管領・上杉憲政を頼り、のち1557年頃、越後国に追われた際に同行したと思われる。
このあたり、三戸義宣と神蔵盛清の関係はあやふやな点があるが、いずれにせよ上杉朝定が亡くなる前に、神蔵盛清は元木山城(大傘館)に居を構えたのだろう。
その後、当地を直ヶ谷(のうがや)と名付け、1544年には、元木山城に「瑞香殿館」を建立した。
1574年、北条氏直が第5代当主になると「直」の字が重なるため、直ヶ谷を「能ヶ谷」と改めた。
1590年、徳川家康が江戸城に入ると、元木山城(大傘館)や瑞香殿館は破却されたようだ。
しかし、神蔵氏は鶴川での名家として存続し、江戸時代の1693年に瑞香殿館(ずいこうでん-やかた)は再建されたと言う。
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その後、明治39年(1906年)に建て替えた瑞香殿館が現存しており、見事な庭園もあることからNHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」(1995年放送)の撮影ロケも行われたようだ。
このように、瑞香殿館と日本庭園は「香山園」(かごやまえん)は神蔵家の個人所有として入場料1000円にて一般公開されていた。
香山と言うのは神倉龍蔵宗家が従ったとされ、日本神話に登場する天照大神の曾孫「天香山命」(あまのかごやまのみこと)※別名:高倉下(たかくらじ)に由来するとも。
しかし、香山園は2015年3月29日に閉館した。
小田急線・鶴川駅から徒歩約4分と近いこともあり、町田市は、2016年6月に都市計画緑地(香山緑地)として都市計画を決定。
庭園や美術館を含めて2017年に町田市が買い取った。
そして、再び一般公開するべく建物の耐震補強するなど「香山緑地」として整備を進めているが、行政主導のためあまり進捗状況は良くない。
2024年度に再オープン予定となっている。
と言う事で、執筆時点では工事などで立入禁止となっているため、遠景撮影に留めた。
ちなみに、白洲次郎の武相荘も徒歩5分と近い。
武蔵・沢山城、青木三郎屋敷もほど近い。
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