お城解説「日本全国」1300情報【城旅人】

ユクエピラチャシは、北海道陸別町トマムにあるアイヌの城跡で、標高250m、比高45mほどの丘頂式チャシで、別名は、リクンベツチャシ、陸別チャシとも言います。
十勝川の支流になる利別川が、大きく蛇行した崖上にあると言う感じです。
中央は半円状の壕になっており、長さは約100m、幅6m、深さ3mと、北海道の内陸部にあるチャシ跡としては最大級と言う事もあり、国指定史跡となっています。

土塁(盛土)は、白い火山灰にて覆ったようで、かつては大変美しいものだったことがわかっていますが、今では、白さはよくわかりません。
ユクエピラチャシの意味としては、アイヌ語で「シカ・食べる・崖」という言葉が「ユク・エ・ピラ」となります。

陸別での伝承によると、1550年前後の英傑になる、リクンベツ（陸別）の首長・カネランと言う人物がいます。

そのため「カネランチャシ」(カネランのチャシ)とも呼ばれますが、雷の子孫とされるカネランの砦としては、近くにあるウェンベツチャシだと言う説もあるようです。

下記のような、言い伝えがあります。

雷の子孫であるカネランは雄将で弁舌であり、並ぶ者はおらず、息子らも猟の名手でした・
ンラネンは、次第に増長し、その弁舌にて、十勝・釧路のアイヌから、宝物を取り上げてしまったと言います。
その後、遠くは厚岸アイヌのところまで遠征しました。
厚岸のアイヌは、恐れおののきましたが、100歳を越えた物知りのお婆さんが、嘘の多いカネランの言いがかりを論破します。
そのため、怒ったカネランは、乱暴の限りを尽くして引き上げました。
その後、厚岸のアイヌと、カネラン側の十勝アイヌの戦いが始まり、カネランは捕らえられ、大きな丸太に縛り付けられました。
過去の罪悪を悔いたカネランは、神に助けられ、その後は反省し、懺悔の生活を送ったと言います。

ユクエピラチャシは、北海道「最大級」の規模と言う事ですが、なぜ、珍しいかと申し上げますと、下記の通りになります。

アイヌの人々は、何かを作る際に、年を越して、作り続けることは無かったと言います。

要するに、チャシを造営する場合においても、長くても、1年以内に、作業を終えていたと言う事なります。

これは、年を越すと、大地に残酷なことをし続けると言う事で、悪魔の神「ウエンカム」(ウエンカムイ)が、現れると言う考え方からです。

そのため、小規模な城跡が多いのですが、ここ「ユクエピラチャシ」は、でかいので、それなりに大きな勢力を誇っていたと考えられるわけです。

アイヌでは、なんにでも神が宿っていると言う信仰ですので、例えば、人を襲ったヒグマがいた場合は、ウエンカムイ（悪い神）が、何か警告をしたのだろうと言う解釈になります。(襲わないヒグマは、普通のカムイが宿っている)

下記は、陸別町の英雄である関寛斎を称える石碑のようです。

日本一寒い街「陸別」にあるユクエピラチャシへの交通アクセス・行き方ですが、道東自動車道の足寄ICから、クルマで約40分となります。
駐車場はありませんが、1.5車線の舗装道路から枝分かれする城址入口から、右に入る砂利道を登って行くと、10台ほどの駐車スペースがあります。
案内板があるところからは、入れませんので、当方のオリジナル地図にて、駐車場入口を、ポイントしておきます。
旧陸別駅(道の駅)からですと、徒歩で15分くらいの距離です。

見学所要時間は15分くらいです。
冬季の11月～3月は閉鎖されますと言うより、危険です。
熊出没注意ですので、熊鈴など、対策をしっかりと。

・ウェンベツチャシの解説
・リンナイチャシ　美幌にあるアイヌの砦跡
・チャランケチャシ～北海道オホーツク海に面した網走の桂ヶ岡砦跡
・関寛斎の解説　北海道陸別の開拓に貢献した医師
・オロンコ岩チャシとウトロチャシ～知床半島にある砦跡
・北海道のスピード違反取り締まりにはご注意を～傾向と対策
・北海道観光地巡り用「北海道観光オリジナルGoogleマップ」