愛知県

片原一色城 織田信長の鉄砲の師・橋本一把

一色城跡




室町時代から戦国時代にかけて愛知県稲沢市に片原一色城と言う城がありました。
片原一色町誌には面積二町一反六畝十九歩と記されており、現代で言えば約20,000㎡野球グラウンドの2面分の広さにあたる大きな城で、この城を拠点として、近隣に矢合城(やあい-じょう)、儀長城(ぎちょう-じょう)、井堀城(いほり-じょう)、三宅城(みやけ-じょう)と4つの支城を構え、一大勢力を誇ったのが橋本氏でした。
この4つの支城に関しても、儀長城跡に城址碑が立てられている他は、矢合城跡に国分寺が移築され、山門前に城址碑、本堂前に看板が立てられているのみとなっています。
矢合城跡の国分寺

現在、片原一色城の遺構は残されていませんが、城跡近辺に石碑が建っており、その石碑には
「一色城址」
応永の頃より橋本伊賀守の居城で、8代に及んだ。





中でも道求は信長に、道一は秀吉に鉄砲をもって仕えた勇将であった。
元和元年、西暦1615年廃城となる
と記載されています。
一色城城址碑

橋本氏は南朝の忠臣である楠木正成の子孫で、橋本氏の初代となる宣津寺が、紀伊(現在の和歌山県)橋本荘を領有した事から橋本氏を名乗ったと言われています。
初代橋本宣津寺(はしもと-せんつじ)の嫡男・橋本寛勢(はしもと-かんせい)は父の宣津寺と共に応永23年(1416年)頃、後南朝の尹良親王(ゆきよし-しんのう)に従い、尾張の地に来たと言われ、その後8代180年間にわたって片原一色城を本拠としていました。
初代の橋本宣津寺から数えて5代目にあたる人物が、織田信長の鉄砲の師である橋本一把(はしもと-いっぱ)になります。

橋本一把は橋本道求(はしもと-どうきゅう)とも呼ばれ、当初は蜂須賀政勝(はちすか-まさかつ)が指揮する蜂須賀党に属していたと言われていますが、天文18年(1549年)頃、鉄砲撃ちとしての名声を織田信長が耳にして召し出され、鉄砲師範として仕える事となり、夏頃には信長の命で国友村の鉄砲鍛冶に六匁玉鉄砲500挺を注文したと言われています(※注)ので、この鉄砲が織田信長と斎藤道三の会見時に鉄砲500挺の部隊として随行し、橋本一把がその部隊を指揮していたのかもしれません。
※注
寛永10年(1633年)に記された『国友鉄炮記』によると、国友村の鍛冶職人である国友善兵衛に橋本一把が注文したと記されています。





天文21年(1552年)萱津の戦いで清州織田氏の守護代である織田信友を破り、さらには弟の織田信勝との家督争いに終止符を打った織田信長は、尾張守護の斯波義銀(しば-よしかね)を追放し、尾張南部の支配権を固めて行きます。
これに対し、尾張北部は岩倉城を本拠とする織田伊勢守家の出身で守護代となっていた織田信安(おだ-のぶやす)が支配しており、当初は織田信秀の妹を妻として縁戚関係にありましたが、長良川の戦いでは斎藤義龍と手を組むなど、織田信長と敵対関係にありました。

永禄元年(1558年)織田信安の跡を継いだ織田信賢(おだ-のぶかた)は3,000の兵を率いて浮野へ進軍。
これに対し信長軍は2,000余りと言われていますが、犬山城主の織田信清の援軍1,000が来たため、岩倉勢は1,200を超える死者を出し敗走したとされます。

この浮野の戦いで、岩倉勢の中でも弓の達人として名高い林弥七郎と鉄砲対弓矢の戦いを演じ、林弥七郎の放った矢が橋本一把の脇の下に突き刺さるも、一把の放った鉄砲は林弥七郎の胸を打ち抜き、相討ちになったと言われています。
橋本一把の死から17年後の天正3年(1575年)長篠の戦が起こり、橋本一把によって織田軍に伝えられた鉄砲術は時代と共に改善されて行き、戦国最強と呼ばれた武田軍は敗北を喫する事となります。

橋本一把の嫡子で片原一色城の石碑にも名前が残されている橋本道一(はしもと-どういつ)も鉄砲の名人として豊臣秀吉加藤清正に仕え、朝鮮の役では鉄砲隊を率いる予定でしたが、肥後の国で病死したと言われています。





片原一色城
稲沢市片原一色町上方
神明社の南東にある尾張水道みちと呼ばれる橋のたもとに城址碑があります。

矢合城
稲沢市矢合町城跡2490
尾張国分寺

儀長城
稲沢市儀長町
三宅川に架かる橋のたもとに城址碑があります。

井堀城
稲沢市井堀中郷町88
浄念寺近辺と言われています。

三宅城
稲沢市平和町上三宅城地
遺構はありませんが、字名が城があった事を思わせます。

浮野古戦場跡
一宮市千秋町浮野海道25





(寄稿)だい

蜂須賀小六(蜂須賀正勝)の解説 豊臣秀吉の腹心
織田信長「14歳での初陣」吉良大浜の戦い
勝幡城 織田家が躍進を遂げる本拠となっていた平城

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だい

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愛知県在住の会社員です。
休日には県内の城巡りをしており、愛知県内にある1,300以上ある城館を全て制覇する事が当面の目標。
モットーは「どんなマイナーな土地にも歴史はある!」
愛知県出身の有名武将は数多く存在しますが、それ以上にマイナーな武将や城も多数存在しています。
そんなマイナーな武将やお城を歴史好きの皆様にご紹介できるような記事を書いて行きたいと思います。

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