尾張・長田屋敷
尾張・長田屋敷(おさだやしき)は愛知県知多郡美浜町野間新松下にある平城(屋敷跡)。
平安時代末期の平治年間(1159年〜1160年)には、長田忠致・長田景致父子の長田屋敷と伝わる。
碧南市に三河・長田屋敷、豊田市には三河・長田屋敷(三河・長田館)もあるので混同しやすいため注意が必要である。
長田忠致
長田忠致(おさだ ただむね) は平安時代末期の武将で生年は不詳。
父は長田致俊、兄に長田親致、子には長田景致、鎌田政清の妻がいる。
長田氏は桓武平氏・良兼流で尊卑分脈によると、平致頼の5世孫が長田忠致(平忠致)になる。
平致頼の代に長田氏を称し尾張国知多郡野間庄などに勢力を張ったので尾張平氏とも呼ばれていた。
平治元年(1159年)、平治の乱に敗れて敗走した源義朝(源頼朝の父)は坂東に逃れる際、伊勢湾を渡ったようで同行していた家来・鎌田政清の舅である長田忠致を頼って野間荘に一時逗留した。
長田忠致の娘が、鎌田政清(鎌田正清、鎌田正家、鎌田政家)妻になっていたと言う縁からである。
この鎌田政清の母は、源義朝の乳母でもあり信頼された家来であった。
現在の横浜に領地があったようで武蔵・山田城山 (鎌田氏館)が鎌田氏の本拠と考えられる。
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しかし、長田忠致・長田景致の父子は平清盛からの恩賞を目当て、源義朝を浴場で殺害した。享年38。
実行犯は家来の橘七五郎、弥七兵衛、浜田三郎の3名とされ、尾張・長田屋敷から近くにある法山寺の湯殿にて入浴中に襲撃したとされる。
酒を飲まされていた鎌田政清も同時に殺害された。
従者・金王丸は橘七五郎、弥七兵衛、浜田三郎の3名を斬り捨てると、常盤御前に知らせるため京に戻ったと言う。
<注釈> 金王丸は土佐坊昌俊と同一人物とする説もある。
知らせを聞いた常盤御前と今若(阿野全成)・乙若(源義円)・牛若(源義経)を連れて、平清盛のいる六波羅に出頭した。
横浜にいたと推測される鎌田政清の妻(長田忠致の娘)は嘆き悲しみ川に身を投げたと言う。
兄・長田親致は相談を受けたが不義を説いて乳母・初音の生まれ故郷である大浜郷棚尾(愛知県碧南市)に漁船で渡って、三河・長田屋敷(碧南)に移り住んだとされる。
この子孫は戦国時代に「永田」と漢字を変えて、小牧・長久手の戦いにて池田恒興を討ち取った永井直勝を輩出している。
江戸時代、永井直勝は下総・古河城にて7万2000石となった。
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野間大坊の境内に「血の池」と呼ばれる首洗いの池があり、源義朝の首は京・六波羅の平清盛に届けられると長田忠致は壱岐守に任ぜられた。
恩賞として三河国高橋荘を賜り、三河・長田館(豊田市)に住んだともされる。
近くの野間大坊の境内には源義朝の墓がある。
1180年、源頼朝が平家打倒の兵を挙げた際に、父の仇である長田父子は源頼朝に加勢して各地で戦功を挙げた。
源頼朝からは「懸命に働いたならば、美濃尾張をやる」と言われていたようだ。
しかし、平家追討完了後に「約束通り、身の終わり(美濃尾張)をくれてやる」と言い、1190年、長田忠致・長田景致の父子は処刑されたとある
諸説あるが、源頼朝の上洛の際に、美濃・青墓の宿にて斬首されたともされる。
長田父子磔の松
なお、尾張・長田屋敷のすぐ南側の丘に「長田父子磔の松」がある。
当然だが鎌倉時代から800年以上たっているため、当時の松はすでに枯れており、現在は写真のように墓標代わりの松がある。
長田忠致父子の最期には諸説あるが、源義朝の墓前で磔にしてなぶり殺しにしたともされる。
恩賞を与えるといって誘いだして松に磔にしたとも言う。
交通アクセス
駐車場はないが、野間大坊の駐車場はを利用できる。
電車にて尾張・長田屋敷への行き方だが名鉄・知多新線の 野間駅から徒歩10分。
長田父子磔の松も看板があるのですぐにわかるだろう。
ただし、長田父子磔の松がある場所だが小高い丘の中腹にあり、クルマは進入できない。
田んぼ奥の入口(下記)から舗装された遊歩道を歩いて2分ほどのところ。
いずれも場所は当方のオリジナル地図「名古屋・北陸方面」でポイントしている。
オリジナル地図「名古屋・北陸」方面
スマホ画面などで表示して「検索窓」から検索して、カーナビ設定することでも使用可能。(徒歩ナビとしても可能)
野間大坊もセットでどうぞ。
このあとは河和城に向った。
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