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玖須美館(伊東)の解説~伊豆・久須美荘(玖須美荘)を領した工藤氏(伊東氏)の本拠地

玖須美館




玖須美館とは

玖須美館(くすみ-やかた)は、静岡県伊東市和田にある平城・屋敷跡です。
鎌倉時代中期、伊東朝高(伊東八郎左衛門尉朝高)が住んでいたと伝わり、伊東朝髙館跡とも書きます。

玖須美館

1261年、伊東朝高は、鎌倉幕府の命を受けて、伊豆に流罪となった日蓮聖人を監視する立場として見受けられます。
この時、伊東朝高は、原因不明の熱病にかかりましたが、日蓮の祈念を受けると平癒したため、日蓮に帰依したとあります。
念願成就すると海中から出現した釈迦仏を日蓮に贈ったとされ、日蓮の「随身仏」となりました。
日蓮は、執権・北条時頼の判断にて、1263年に許されて、伊豆を離れています。





現在ある仏光寺(佛光寺)の創建は、健治元年(1275年)となります。
伊東朝高が死去したあと、家臣・綾部正清が、伊東朝高の菩提を弔う為、屋敷跡に、妙法華院を開いたのが始まりとされます。
境内には伊東朝高の墓と綾部正清の墓もあるそうです。

この鎌倉時代中期より、約100年前の話になる平安時代末期、伊豆最大勢力を誇った工藤氏の本拠地は、久須美荘(玖須美荘・葛見荘)です。
もっと古くは、久豆弥(くづみ)と書いた模様です。
その久須美荘(玖須美荘)で、最大の街と申しましょうか、本貫地は伊東と言う事になります。
工藤氏6代になる工藤祐隆(工藤家次)は、出家すると、久須美入道と号しました。
まさに、久須美に住んだからですね。
久須美荘と言うのは、この伊東の伊東荘だけでなく、宇佐美荘・大見荘・河津荘・狩野荘など、全部の事を表現していたらしく、のち領地を分割相続させたことで、細かく、伊東荘・宇佐美荘と、表記されるようになり、久須美荘は使わなくなりました。

また、伊東氏館があったとされる、玖須美館の背後の高台(伊東市役所付近)は、別名・物見塚とも呼ばれます。
物見塚(伊東館)の場所からは、伊東市街地や相模湾など展望が素晴らしいところです。
しかし、高所に城・館を構えるようになったのは、概ね、鎌倉時代後期からあとの時代です。
平時は、便利な低い土地に屋敷を構えて生活しており、有事には詰の城として、高い場所を砦として使いますが、戦国時代は合戦が絶えないので、低い土地よりは高い場所にと城を築き、山城もたくさんできました。
ただし、平安時代末期頃は、まだ、そんな高いところに、屋敷を構えるとは考えにくいです。
一般的には、背後が山で、谷間のようなところ(水を得やすい場所などの理由がある)に、屋敷を構えます。
伊豆・北条荘北条時政の屋敷もそうですし、鎌倉にしても、平地に屋敷を構えて、周囲の山で防御している訳です。





西隣は「竹の内」と呼ばれる地区でして、伊東氏の別館・竹の内館があった付近とも考えられます。
八重姫は、その竹の内館にて監禁された可能性もあるでしょう。(宇佐美ともされ、諸説あります。)

そのように考えますと、高台の伊東氏館跡よりも、この玖須美館跡のほうが、古い時代に使われていた・・。
すなわち、平安時代末期には、玖須美館を中心に、工藤氏・伊東氏の生活があったのではと感じずにいられません。
ここでも「伊豆あるある」でして、よく確かめずに、決めてしまっている節があるように思います。

玖須美館

と言う事で、現在、仏光寺(佛光寺)になっており、遺構などはありません。

交通アクセス

玖須美館への行き方ですが、JR伊東線の伊東駅から、約1.2kmの距離で、歩くと15分くらいです。
駐車場は、佛光寺の大きな駐車場があるのですが、平日の訪問時は、カギが閉まっていて、あいてませんでした。
そのため、近隣のコインパーキング利用のほうが、無難かと存じます。
今回は、伊東・桜木町1丁目の三井リパークに止めて、音無神社などを経由して、歩いてきました。





本堂の右奥から、階段を登って行くと、伊東館(物見塚公園)へと、歩いて行けます。
逆ルートでも良いですが、伊東館(伊東氏館)とセットでどうぞ。

また、強い揺れを感じたら、すぐに、高台へと逃げて、津波情報にご注意願います。

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(株)TOLEDO、高田哲哉と申します。
20年以上戦国武将などの歴史上の人物を調査している研究家です。
日本全国に出張して城郭も取材させて頂いております。
資格は国内旅行地理検定2級、小型船舶操縦士1級など。

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