安房・白浜城
安房・白浜城(しらはまじょう)は、千葉県南房総市白浜町白浜にある標高144m、比高120mほどの山城。
最初の築城は不明だが、房総半島の最南端である野島崎の北約1kmにある山塊に築かれている城跡で、安房・里見氏が最初に本拠地にしたことで知られる。
郭や腰曲輪の数は100以上あるようなので、大規模な山城と言えよう。
里見義実とは
その安房・里見氏の初代とされるのが里見義実(さとみ よしざね)で、室町時代の1412年に誕生した。
父は上野国新田氏の一族である里見家基(里見修理亮)とされ、鎌倉公方・足利持氏に仕えていた。
ただし、この父・里見家基は1409年生まれともされ、1412年生まれとされる里見義実と親子関係とは考えにくい部分もあり、よくわかっていない。
いずれにせよ、1438年、永享の乱で足利持氏が亡くなり鎌倉公方が滅亡すると、1440年、遺児の春王丸・安王丸を担いで、結城氏朝・結城持朝などが蜂起する。
1441年、室町幕府側の上杉清方・今川範忠・小笠原政康などは、下総・結城城を包囲し結城親子は自害。
春王丸・安王丸は捕らえられ処刑されたが、生き残っていた足利成氏が鎌倉に帰還すると鎌倉公方となり、のち北関東へ逃れると古河公方を称している。
スポンサーリンク
この結城合戦にて、里見家基らも討死したようで、その里見一族の里見義実が野島崎に逃れて来たと言うのが正しいようだ。
里見義実は、三浦氏の援助を受けて相模・三浦半島から東京湾を横断して安房・白浜に渡ったとされる。
ただし、太平洋に突き出ている白浜の地は海上交通の要所でもあることから、関東管領・上杉氏が押さえており木曾氏が管理していたようなので、もしかしたら後方かく乱などの任務で上杉氏の拠点を攻撃するため、里見義実が安房に来たのかもとも感じる。
<注釈> 今でも白浜には木曽さんが多くお住まい。
里見義実は、安房に入ると鎌倉公方側の豪族・安西景春の支援を受けた。
もしかしたら、その安西氏を使って先に木曽氏を寝返らせた可能性も考えられる。
この頃、安房では戦乱となっており里見義実は安西氏と丸氏と共に、神余城の神余景貞を下克上した家臣・山下定兼を討伐したともされる。
すると神余氏の旧領分配で安西氏と丸氏が対立し、安西氏は丸氏を滅ぼした。
今度は、安西氏に恨みを持ち丸氏・神氏の残党が、白浜にいた里見義実に頼んだので安西氏の討伐を行ったと言う流れが見られる。
こうして、1445年、里見義実は安西氏を追放すると東条氏も攻め、安房を平定した実力者となり、安房・白浜城を築城(改修)した。
スポンサーリンク
諸説あるが、里見義実の正室は武田信長の娘?とされるが、1448年に里見成義(さとみ しげよし)が生まれている。
<注釈> 甲斐の武田信長は、その頃、相模守護だった可能性もあるが、のちの1458年頃に庁南城・真里谷城を築いて上総・武田氏となる。
なお、里見氏は安房国の中心部になる安房・稲村城を築くと本拠地を移した。
伝承では1486年から里見義実が安房・稲村城の築城を開始し、1491年に完成したとされる。
なお、里見義実はその間の1448年に死去。
子とされる里見氏2代の里見成義は、父とされる里見義実の没年に生まれたとされ、ここでもいささか疑問点が生じる。
なお、安房・里見氏3代とされる里見義通は、1481年生まれともあるが、安房里見氏としては史料から確実に実在したことが確認できる武将だ。
以上のように、里見氏初代と2代に関しては、不明瞭な点が多い。
しかし、3代・里見義通は古河公方足利政氏に従い、弟・里見実堯と共に正木通綱らを屈服させ、戦国大名としての基礎を固めて行ったのは間違いない。
ただし、弟・里見実堯は家中での実力をつけたため、里見義通の長男・里見義豊との間に対立が生じ、1533年、稲村の変(天文の内訌)になる。
スポンサーリンク
なお、青根原神社前に里見成義の墓碑があるらしい。
登城口
安房・白浜城の登山道は西側と東側にある。
下記は、西側の登城口付近から撮影した白浜城。
登城なさっておられると考えられる赤っぽいバイクも停車していたが、このあと稲村城でも目撃した。
東側の青木観音堂からは約20分で第1展望台、さらに約10分で第2展望台に出れる。
西の遺構は城山と呼ばれている。
下記のマップがわかりやすい。
今回は倒木が多いとの事前情報もあり登城は断念し、野島崎付近で刺身定食を食べることに変更している。
交通アクセス
JR館山駅から路線バス「豊房線」安房白浜行に乗車して所要25分、野島崎灯台口バス停下車して、500m徒歩7分で西の登城口。
東京駅から安房白浜行きの高速バスでも良いかと存じます。(最速2時間30分)
駐車場はないので、野島崎の見学ついでに野島埼灯台入口にある無料の白浜駐車場が良いか?(ただし結構混雑気味)
西側の登城口は、当方のオリジナル関東地図にてポイントしている。
スマホで表示して、目的地として選択し「ナビ開始」にすれば、カーナビ代わりにもなる。
自動車用、歩行用でも、ナビとしてお使い頂けると幸だ。
・里見義頼 里見義康とは 里見八犬伝の誕生経緯は?
安房・稲村城の解説~里見義通・里見義豊と稲村の変(天文の内訌)
・八遺臣の墓への行き方~安房・館山城にある南総里見八犬伝関連史跡
・安房・館山城 展望も素晴らしい館山の城
・新田義貞誕生の地伝説と「南総里見八犬伝」の一族の里見城
・里見忠義と正木時茂 倉吉の大岳院~里見八犬伝発祥の地
・伝説の岩屋【源頼朝の隠れ岩屋】野島崎灯台・房総半島の最南端
・日本全国のお城マップ(オリジナル)
この記事へのコメントはありません。