初沢城(はつざわじょう)は東京都八王子市初沢町にある標高294m(比高100m)の連郭式山城です。
別名は、椚田城(くぬぎだじょう)・高乗寺城とも呼ばれます。
大江広元の子孫とされる長井道廣(長井大膳大夫高乗)が、片倉城に在城していた際の1394年に高乗寺を開祖し、この初沢城も築城したと伝わりますが、諸説があり詳しくは不明です。
「新編武蔵風土記稿」によると、鎌倉幕府初期の横山党の一族・椚田氏の居城と推測されていますが、それは恐らく浄泉寺城の方だと推測されます。
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1504年、扇谷上杉勢が山内上杉勢を破った立河原の戦いの際には、扇谷上杉方の椚田塁が落城したとあります。
これは、初沢城であると推測されますが、片倉城の可能性、又はその両方とも考えられ、長井八郎は捕虜となっています。
なお、初沢城主だった長井広直は、一族20数名と共に初沢城を攻められて討死したとあります。
今回は、南側から初沢城へ入って行きました。
すると、最初、配水所が見えてきます。
もしかしたら、曲輪だったのかも知れませんね。
そうそう、
配水所を過ぎますと、道が左右に別れますので、右へと進みます。
左へ進んでも、ところどころに案内板があるので、本丸にはたどり着けます。
戦国時代では、八王子城の支城の1つとされていますが、そんなに改造はされなかった模様です。
ただ、八王子城から津久井城への連絡の中継点としては機能していたかも知れません。
あまり明確な遺構はありませんので、戦国時代よりも前の時代に築かれたままのわうに感じますが、複数の削平地と、小規模な堀切が見受けられました。
下記写真わかりますかね?明確ではありませんが、人工的な手が入っている堀切と土橋です。
初沢山頂(本丸)の周りには、複数の腰曲輪がありました。
山城と言っても八王子城ほど急峻ではありませんので、そんなに苦にならず良い運動になります。
下記は本丸です。ベンチがありました。
城として機能していた際には、木々が切られていたはずですから、展望も良かったと思います。
下記は高尾山のケーブルカー駅を望む写真です。
1590年、豊臣秀吉の小田原攻めの際には八王子城が落城します。その時、僅かな兵で守っていた初沢城も落城し廃城となったとありますが、水の確保もできなかったと見え、戦国期にはほとんど活用されていなかったと推測します。
北条家ならば、鉄砲対策として、郭を囲むような土塁を作るはずですが、土塁も見受けられませんしね。
現在はハイキングコースとして整備されおり、登りやすい城跡となっていますので、散策するのには良く、なかなか気に入りました。
なお、太平洋戦争が激化すると空襲が増えたため、日本陸軍は浅川地下壕を堀り、トンネル内に中島飛行機武蔵製作所を設置しました。
採掘には日本人だけでなく多くの朝鮮人労働者も動員されましたが、そのうち初沢城跡の真下に掘られた「ハ地区」は75%完成しており、他の壕共々今でも残されています。
ハ地区は長い地下壕で約2kmが5本あり、トラックも通行できる広さと言います。
初沢城の登山所要時間は往復約40分前後といったところですが、基本的には道も広く整備されており、登りやすい山城です。
散策できるよう道が何本もあるのですが、所々に案内板も設置されているので、余り迷う事はないでしょう。
ただし、本丸付近は急になっている箇所もありますので、足元心配な方は、トレッキングポールがあると良いです。
初沢城への行き方・アクセスですが、高尾駅からは徒歩で約20分で、高尾天神社から登って行けます。
初沢城に駐車場はありませんが、私の場合は南側の紅葉台と呼ばれる住宅開発地から攻めました。
下記の写真がその登り口です。
住宅街の北側が駐車禁止になっていない道路があります。
ただし、付近の住民に迷惑を掛けないよう、消防車が通行できるよう、短時間の駐車に留めました。
初沢城にトイレはありませんので、付近で済ませてから訪問しましょう。
なお初沢城の郭を全部回るのであれば、高尾天神社・出丸・本丸(初沢山の山頂)・配水所・高尾やすらぎ霊園へと抜けると、初沢城の城域すべてを効率よく周れるようになります。
1周でだいたい70分は掛かるのではと推測致します。
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下記の地図ポイント地点は、今回登った南側(配水所)からの登山口となります。
こちら側からだと、全部回るには行ったり来たりとなりますが、標高249mの高台からですので、本丸との比高は45mと軽減されますので、息もそんなに切れません。
地図は縮尺を変えてご覧下さい。
・浄泉寺城(近藤砦) 近藤綱秀の居城
・廿里の戦い(とどりのたたかい)~小山田衆と滝山衆が高尾で行った合戦
・初沢・高乗寺と小宮山民部、忌野清志郎さんのお墓?【八王子市高尾】
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